第1回 郷土芸能みやげ部
郷土芸能をこよなく愛する者が毎度欲するアイテム。それはみやげ。
地域の特産物や祭礼の時期だけ配られるもの、団体が独自に製作するもの、ご祝儀の返礼として用意されたもの。内容も菓子であったり酒であったり、お守りや絵馬など芸能が奉納される神社に由来するものや、団体ファンが喜ぶラバーストラップまで多種多様。
もちろんあったりなかったり。
去年まではあったけど今年はない! 買っておけばよかった〜、など一期一会に一喜一憂するのも楽しいもの。
おみやげ大好き、ないなら作りたい。
「夢の郷土芸能みやげ部」は、郷土芸能ファンがお互いの「こんなみやげが欲しいぞ」を自由に提案し合うという企画です。
夢の郷土芸能みやげ部とは
・あったらいいなと思う郷土芸能みやげを考える集まりです
・みんなの前でアイディアを発表します
・試作品ができたら見せます(なくてもok!)
・発表者以外は感想を述べます
発表する部員
発表を聞く部員
今回みやげを考えるにあたって、わたしは2つのポイントにこだわりました。
ポイントその1は「手作りできるもの」です。
外部に発注する場合、最小発注数が100~1000個ということもよくあり、費用や在庫管理を考えるとなかなか挑戦しづらかったりしますよね。
でも手作りなら1個からでも気軽に作ることができます。
また、保存会メンバーでグッズを手作りした方によると、「グッズ制作時間が自分たちの芸能について話したり、メンバー同士のことを知る時間になった」んだそうです。地域の方々と一緒に作って、つながりを深めるのもいいかもしれません。
ポイントその2は「モチーフとなる芸能の特徴を活かしたデザインにする」です。
印象に残りやすいし、なにより私が作っていて楽しいからです!
以上、前置きが終わったところで、私からの1つ目のみやげ案はこちらです。
これは鹿踊付箋です。
ササラの部分が付箋になっていて、学校や職場で楽しく使うことができます。
試作品は百均の付箋を転用したので短いササラですが、細長い付箋を用意して、より「ササラ感」を出すのも良いと思います。
また今回はざっくりと「鹿踊」をモチーフとしましたが、特定の流派や団体などをモチーフにすることで、バリエーションに幅を持たせることもできます。
頭の部分を開くと鹿踊の説明が付いていて、みやげとして渡しつつ鹿踊を広めることができる一品です。
<感想>
・かわいい
・絶対買う
・ササラが付箋なのいい
・フェルトなところがいい。特別感がある
・400円なら友達の分も買って配る。500円なら2、3個買って自分のために使う
・団体毎のバージョンが売ってたら「あそこだ!あそこだ!」ってつい買っちゃう
・出来上がってるのも可愛いけど組み立てるのもいい(ワークショップもいい)
では続きまして…みなさん、最近鉛筆は使っていますか?
私の「あったらいいな」二つ目はこちら。
山屋の田植踊(岩手県紫波町)の鉛筆キャップです。
早乙女が冠った花笠を振る「笠振り」という演目をモチーフにしたアイテムで、鉛筆を回すことで「それっぽさ」を味わえるだけでなく、単純に鉛筆立てに挿しておくだけでも可愛い一品です。
さらに「『回す』が特徴の芸能ならこれも良いよね」と思って作ったのがこちら。
永井大念仏剣舞(岩手県盛岡市)バージョンです。
鉛筆を回すことで、まわる大笠が目に浮かんでくるようです。
山屋の田植踊りキャップとセットにして机に飾るととてもかわいくて、正直試作品が視界に入るたびにテンションが上がりました。
どちらも紙粘土とフェルト、ペットボトルキャップ等で簡単に作成できますが、ペンケースには入らないので注意が必要です。
<感想>
・かわいい
・部屋が華やかになる。友だちの家にこれがあったら回す
・なんとなく郷土玩具っぽさがあるのもいい
ご清聴ありがとうございました!
ご存知だと思うんですけど、幣束を使うところってめちゃめちゃあるじゃないですか。手に持つだけではなくて獅子舞なんかだと頭につけたりとか。郷土芸能の公演を見にいくとありがたいことにけっこうくれるんですよ。あれは嬉しい。
ということで、みんながもらって嬉しいそれをグッズ化したいと思います。こんな感じ。
わかりづらくてすみません。工房の予約が取れなかったのでメモ書きで失礼します。
本番では白、赤、緑ぐらい用意しておいて、「いっぱい自分でつけてね」みたいな。
<感想>
・めっちゃ欲しい。団体によって違う形を作ってもいいのかも
・白だけでなくカラフルなのが欲しい
・本物を小さくしてバラバラにレジンで固めるのがいいかも。組み合わせワークショップもできる
・リメイクとレプリカの2パターンいけるのでは
・本物を持って帰れるところがいい。そばにずっと置ける
・携帯のストラップみたいなのが欲しい
実際はこんなのをもらいます。
![]() |
上:真亀のかっこ舞(九十九里町) 下:辺田前地区八幡神社の獅子舞(印西市) |
一同 でか!
大きな御幣はもらったらリュックに入らないから、帰宅するときは飛び出させて電車に乗るんですよね。
伊万里 乗る乗る。
次はこれ
だいぶ前に作ったんですけど行山流都鳥鹿踊(岩手県)の装束から、仲立ちと女鹿の袴のデザインをモチーフにして作ったスマホのケースです。
これは手帳型になってるので開いて使うタイプです。確か中にね、ポケットがあって、何枚かカードとか入れられたんですよ。
画像のものは都鳥の団体の方々が使ってくれています。
<感想>
・単純に欲しい
・デザインがいい
・肌身離さず持ち歩くスマホに推しが宿る…
・団体さんのこだわり部分が表現できるとこがいい
・もうちょっとぼかしたデザインだと他団体の公演時にソワソワしなくてよいかも
ご質問ありましたらどうぞ。
K 金額的にはどのくらいかかりますか?
作った当時でひとつ2千円くらいだったと思います。安いのは1300円くらいだったと思いますがそれくらいかな?
やり方によっては安価に仕上げることができるかも。
と アプリケーションを上手に使える人がメンバーにいれば。
K いろいろ展開ができそうですね。
これはやる気とツテと経験があれば誰でもできるので。
と 簡単に揃う3つみたいに言った。
私は実用品を色々考えてみました。
一つ目は、折りたためる薄型クッションのような、敷けるグッズです。それが自分の好きなもののグッズだったらなお嬉しいなって。
二つ目は大きいタオルです。手ぬぐいを作ってる団体が多いと思うんですけど、私の日常ではタオルの方が首に巻いたり被って日除にしたりと使う機会が多いんで、あのかわいいデザインのままタオルになって欲しいっていう。
遠征する時も持って行けるので、肌身離さず推しのグッズを持ち歩くみたいなノリ。
三つ目は絵はがき。とくに鬼剣舞(岩手県)の面の形とかシシの形とかにカットされてるやつ。
遠くに出かけた時にその土地の絵はがきに風景印を押して自分に出すっていうことをされてる方がいると思うんですけど、そういう感じに使えるといいな。
あと、グリーティングカードみたいに周りの雰囲気も一緒に感じられるもの。例えばカードを開くと遠野の山並みを背景に、神社と神楽の絵が飛び出して、お囃子が鳴る、みたいな。そこに思い出を呼び起こすことができるし、行けなかった人や一緒に行きたい人とかに送るのもいいなあって。
四つ目は芸能のフォルムを活かしたしおり。ステンドグラスとか、推しの面とかカシラの形に切り抜かれたものとか。遠征する時に本とか持っていくので、あるとすごくうれしいし、おみやげにするにもかさばらないので。
<感想>
・シシガシラのタオルポンチョって斬新でいい。お風呂上がりにシシオドリになれる
・気軽に変身気分が味わえる
・思いっきりアナログに帰るのもいいですね ・カードから口唱歌が流れるのを想像した。最高。現地で気に入った音を録音できたら楽しい
・しおりは外国の方がたくさん買ってるのを見たことあるし、自分も集めたい
・しおりのトップにキャラクターがついているデザインだと、本から飛び出す感じでかわいいかも
いっぱい話してしまいましたが大丈夫でしょうか。ありがとうございました。
総評
ノギ おみやげ欲しいなって思いました。
I 全部欲しい。
と なんで今売っていないのか。
ノギ なぜならその土産屋に私たちがいないから。
と そうかー!でもこういうグッズが何気なく目に入ることで、もっと芸能について考えたり思い出したりする時間が増えるんじゃないかと思うんですよね。相手に対して「あなたが好きなんです!」って伝える手段にもなるし。
I 実は以前、ある芸能のグッズを作るときに、複数の団体の折衷案のようなデザインにしたんですけど、結局それだとどっちつかずで愛着もあんまり湧かず、地元の人たちがそれをお土産にするふうにはならなかったということがあって。
一同 へー。
I 大量に作るとかイメージ映像として使う時はそういうのもありかもしれないけど、とことん個々の団体の特徴を入れこんで、それを持ってる人同士が「お、実はあなたも?」みたいな関係になれる方がいいのかなって。
ノギ すごく大事な意見じゃないでしょうか。下手にぼかすことで何でもなくなっちゃう。
I 団体の皆さんにとっては、衣装や隊列の組み方、腕の振り方とか、そういうこだわりがたくさんあって、そういうぱっと見似てるけどこだわりがあるところが郷土芸能が郷土芸能たる良さだと思う。
そういうのをみやげにも込めていけたらいいかなと。
「みやげ」を考える
と 「グッズを作ることに何の意味があるの?」とか「メンバーが増えるわけじゃないよね」といった声を耳にしたこともありますが…
I 同ジャンルのグッズを持ってる同士って、「あれ?あのステッカーって」「あのキーホルダーって」みたいに反応してしまうサガを持ってますよね。なのでグッズが増えることで水面下にひそんでいるファンを表に出してきたり、「えっ、私も実はそれ好きなんです」のノリができたりしたらいいな、と。
その場に見に行かなくても思い出として持って歩けるものならではのいいところだと思うし、記念としてずっと持ってたりとかして、なんならちょっと見せびらかしたいし、みたいな。ネガティブな意見はあるかもしれないけど、それ以上にメリットがあるんじゃないかな。
ノギ グッズってやっぱりすごくコアなところに刺さるので、いいことの方が多いと思うんですよ。
団体が各自で作っているところもあるし、奉納する神社でお受けできる絵馬やお守りなんかでモチーフになっているものもありますよね。
I 田楽系で割とあるのが、踊り終わったら花笠を外して投げて、観客がボロボロになるまで奪い合って、自分のうちの田んぼとかに挿す。それをやりたくない人のために、花の部分だけを縁起物として売ってるんですよ。争奪戦に挑みたくない人は初めから買い、争奪戦込みで楽しみたい人は挑んで手に入れたぜ〜って。グッズとは違うけど、「芸能がもたらしてくれた神様の力が宿ってる」みたいにして持ち歩くわけですから、グッズだって我々は元気になるわけですから、ちょっと話が強引ですけど(笑)。
と お金儲けだからだめとかそういうことじゃなくって、幸せのお裾分けみたいな感じで作ってもらえたら、私たちは嬉しいですよね。ご祝儀以外の応援手段ができるのはうれしい。グッズ制作の中で団員内や地域とのつながりができたりもするっていう広い視点でみたら、グッズを作るって悪いことじゃないように思うんですけどね。
ノギ 楽しいしね。
伊万里 おっきい祭りの保存会さんとかは、割り切って「これが保存会の運営だったり道具の保存のために使われますよ」ってことで普通に売っていたりして、それを「自分の好きなものが持てて、保存会の応援にもなるなら」ってことで買う人はたくさんいると思うんですよね。
I グッズの良さって、手元に残るっていうのが最大じゃないですか。見てきた思い出と一緒に手元にあるっていうのが。
一同 うなずき
I あと周りによく言われるのが、「お花だと『何千円包んだらいいかな』とか『三千円くらい包まなきゃダメかな』とか考えちゃうけど、グッズは少額のものもあるし値段が決まってるから、自分の手元のお金で応援の気持ちが伝えられるし自分も嬉しい」って。
と 確かに。作るか迷ってる団体さんには一度作ってもらえたら嬉しいですね。
ノギ 困ったら私たちが無限のアイデアを提案することができるよ!「もういい!もういい!」っていうくらい。
一同 笑
ノギ みやげ部、おもしろかったですね!
一同 おもしろかった~。
ノギ またやりましょう。
一同 やりましょう!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大盛況のうちに第1回目を終えた「みやげ部」。
話は尽きず、アイディアは底なしに湧いて出る楽しい時間はあっという間に終わりました。今後も不定期に開催しては妄想を繰り広げる予定です。
我こそはステキなみやげを提案できるという方、話だけでも聞きにきたいという方、ご参加のご表明お待ちしております。また今回登場したアイテムを作ってみたいという団体の方々、ご連絡ください。じぶんちみやげ部が喜んでご協力いたします。
第2回の開催をお楽しみに!
コメント
コメントを投稿